2010年12月1日水曜日

テレビのない生活

先日 同居人と夕食を食べに行った店に テレビが置いてあって
気がつくと 二人ともジッとテレビに見入っていた
「テレビがある家に上がりこむ 戦後の日本人みたいだね」
「たまに見ると CMさえ新鮮に感じるねぇ」と笑って
またニュース番組に目を移した

台湾に来てから テレビを見ない生活をしている
そういう時間もないし 特に見たい番組もない
テレビがないと 家の外の音がクリアーに聞こえてくる

廃品回収の掛け声
建設工事の重機音
登下校中の子供の声
教会やモスクやお寺から流れる お祈りや歌
つたないピアノの練習曲
風に揺れる木の葉の音
雨の音
裏のお屋敷にやってくる鳥の声

世の中の情報には疎くなったが
生活上さして不自由はない
自分のまわりにある事実を 素直に感じ取れるような気がする

台湾に来て10ヶ月半が過ぎた
最近 来たばかりの頃をよく思い出す
来たばかりの頃は何もかもが新鮮に見えた
あの頃はまだ「旅する」世界 にいたように思える
今でも新しい物事には たくさん出会うけど
今の自分は 台北に「暮らす」目線で
それらと向き合っているように感じている
それは事実で いいことでも 悪いことでもない

ただ 台湾という国を見つめる
もうひとつのフィルターを
いま 手に入れ始めたのだろうことは
この国との 距離が縮まったようで
うれしいと思う